シミにも色々な種類があります。 肝斑、炎症後色素沈着、 老人性色素斑などが代表ですが、それぞれ原因や好発年齢が異なります。見かけが極似していたり、複数の種類のシミが混在することもあり、鑑別が難しいことも少なくありません。何も手当をせずに放置しておくと、これらのシミはどうなっていくのか気になるところです。
まずは 肝斑 。両側の頰に辺縁の不明瞭なくすみを生じます。肝斑の明らかな原因は不明ですが、30代や40代からの女性に多いことからホルモンバランスの乱れや化粧の習慣などとの関連が疑われています。両側の目の窪みの下方にできるべったりとしたシミで、その治療には特殊なレーザーを用いたり、内服薬を試したりしますが、あまり効果のないことが少なくありません。実は肝斑は特に治療を施さなくても加齢とともにいずれ少しずつ薄らいできます。
次は炎症後色素沈着。これは何らかの炎症がお肌に起こることが契機となって発症するシミで、火傷やニキビ、あるいは強いレーザー治療などが原因となります。炎症後色素沈着はその原因が取り除かれると、その後は時間をかけて次第に落ち着いてきます。部位によりその消失速度に違いがあり、お顔の色素沈着は早ければ数ヶ月、長くとも通常は1年ほどですが、手足などの比較的血の巡りの悪い部位では数年かかることもあります。下手に治療を試みるとむしろ悪化することもあり、多くの場合は放置して自然経過を見るのが最良の治療です。
最後に老人性色素斑。長年紫外線を浴びることによりできてくる不規則な形の平坦なシミで、頰やこめかみに好発します。皮膚浅層のメラニン細胞が紫外線に反応して色素を産生します。特にお肌の薄い女性にでき易い傾向があります。老人性と言う名前が付いていますが、必ずしも高齢者に限られる訳ではありません。紫外線に浴びる機会が多いと、20歳代前半でも目立ってくることがあります。
老人性色素斑を放置すると、メラニンがさらに増加して色が濃くなるばかりでなく、角質層が増生し厚くなり、いわゆる脂漏性角化症と呼ばれる隆起性病変になります。これが年配の方のお顔によく見られる黒色をしたイボのような隆起の正体です。若いうちに適切な手当をすることで、将来の脂漏性角化症を予防できます。現在、老人性色素斑の最善の治療はIPL(フォトフェイシャル)とされています。小数回の治療で安全にシミを除去することができます。
長寿時代を迎えた今、将来を見据えて、放置しても良いあるいは放置した方が良いシミと、早めに手を打つべきシミとを見極め、各個人に即した適切な美容治療を受けてくださいね。
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