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胃のアンチエイジング:ピロリ菌の話

内臓も歳をとります。一般に加齢に伴い内臓の働きは少しずつ衰えてきます。昔はどんなに深酒しても平気だったのに、最近はめっきり弱くなったというのはおそらく肝臓の働きの低下。息切れや動悸を感じやすくなったというのは肺や心臓の働きの老化。脂っこい食べ物をあまり受け付けなくなった、あるいは胃がもたれやすくなったと感じる方。もちろん胃癌も除外しなければなりませんが、それが否定された場合、おそらく胃の加齢が関係しています。

歳をとると胃に萎縮性変化が現れます。幽門部という胃の出口に近い部位から始まります。若者の胃は綺麗なピンク色をしていて、平滑であまり凹凸がありません。加齢により表層の粘膜が次第に薄くなり、奥にある毛細血管が浮き出て、まだら模様になってきます。さらに進むと薄くなった表層の粘膜細胞を補おうと、その深部から別の細胞が増え始め凹凸を帯び、さらに腸上皮化生と呼ばれる変化を起こします。こうした加齢の変化は幽門部から始まり、次第に口側に広がります。


胃の加齢が実年齢よりも早く進む人には何らかの原因があるはずです。刺激のある食べ物への嗜好やタバコの習慣なども関係しますが、最も重要なのがピロリ菌の感染です。ピロリ菌の感染があると胃の加齢が早く進むのです。ピロリ菌は多くは1才以下の乳児に周りの環境から侵入します。この時期に井戸水を飲む習慣のあった人は特に要注意。大人になってから感染することはまずありません。


胃がピロリ菌に感染すると、強い炎症を起こし消化性潰瘍を生じたり、慢性炎症が続くことにより萎縮性胃炎を起こします。ピロリ菌の感染は胃カメラで覗くとかなりの確率で分かります(胃バリウムではよくわかりません)。典型的には鳥肌状胃炎と言って胃粘膜が広い範囲でブツブツしている視覚にもとても印象的な変化を起こします。ピロリ菌が感染していると胃癌になる確率が少なくとも10倍以上にも高まります。ピロリ菌がいると明らかに胃癌になりやすいのです。日本人に胃癌が多いとされてきたのもピロリ菌が原因だったのです。


ピロリ菌は適切な抗生物質の組み合わせにより除菌できます。除菌により胃癌になるリスクを4−5分の1に下げることができるというのですから、正に画期的なことです。またピロリ菌を除菌すると胃の動きが回復し、もたれや食欲も改善してきます。40歳以上の方、あるいは乳児期に地方で過ごされた方、ぜひ一度胃カメラ検査とピロリ菌検査を受けてください。胃癌の予防ばかりでなく、胃の若返りができるかもしれません。




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