ビタミンDは脂溶性ビタミンで、植物由来のビタミンD2と動物由来のビタミンD3があります。多くのビタミンは体内でつくることができないため、食品などから摂取しなければなりませんが、ビタミンDは食事だけでなく、日光に当たることで90%近くを体内で作ることができます。
このビタミンDには骨と歯の健康促進、免疫強化、心臓血管系疾患の予防など多くの健康作用があります。、ビタミンDはカルシウムや骨の代謝に欠かせない栄養素です。まず、ビタミンDは肝臓や腎臓で活性化されて、腸管からのカルシウムの吸収を促進します。血液中のカルシウム濃度を高め、破骨細胞と呼ばれる骨を吸収する細胞の働きを抑制し、骨を丈夫にし、骨折を予防します。
ビタミンDには免疫調節作用があります。体内に侵入したウイルスや細菌などに対して過剰な免疫反応を抑制し、必要な免疫機能を促進します。ビタミンDには細菌やウイルスを殺すカテリジンという抗菌ペプチドを作らせる働きがあり、風邪やインフルエンザ、気管支炎や肺炎などの感染症の発症と悪化を予防します。紫外線の弱い冬場はビタミンDが減少し抗菌ペプチドも減少します。最新の新型コロナウィルス感染書の話題では、ビタミンD欠乏症の患者ではそれが正常の患者に比べて重症化する可能性が14倍、死亡率が11倍であると報告されています。
ビタミンDにはアレルギー症状の改善効果もあります。花粉症の発症に腸の関与が指摘されており、腸の粘膜細胞間の結合が緩んで隙間が大きくなるため、未消化で分子が大きいタンパク質や糖、花粉などが腸壁から容易に体内に侵入し、過剰なアレルギー反応を惹き起こしています。ビタミンDは緩んだ腸粘膜の結合状態を改善し、適切な免疫抗体の産生を促します。その他、がんや高血圧などの生活習慣病を予防したり、脳内物質セロトニンを調節し、うつ症状に効果のあることもわかってきました。
ビタミンDはお肌の新陳代謝を促進し、肌を健やかに保ちます。細胞分裂を促し、肌細胞の生まれ変わりを助けます。また、ビタミンD不足によってカルシウムが不足し顔面骨の骨密度が減少すると、骨が萎縮し、シワやたるみをもたらします。骨を丈夫に保つこともシワやたるみの予防に大切なのです。さらにビタミンDにはお肌のバリア機能を守る作用があります。細菌やウイルスを撃退するβ-ディフェンシンという抗菌ペプチドを皮膚上に作らせ、バリア機能を高め、お肌のトラブルを緩和します。冬場にアトピー性皮膚炎が悪化しやすいことにもビタミンD不足が関係しています。
加齢とともに体内でビタミンDを生成する能力も低下してきます。サプリメントとして適切な量を摂取するのと併せて、美白を気にして紫外線を極力避けている女性も、せめて1日15分程度は日光を浴びるようにしたいものです。
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